2024/02/25 20:48

母の兄にあたるおじさんは、50年ほど中華料理屋を営んでいた。
カウンターだけのコの字型のお店で、いわゆる町中華。母と行くといつもチャーシューメンかチャーハンを食べた。
おじさんの中華鍋を振る姿がいつもかっこよかった。
街の市民病院の前にあるそのお店はいつも賑わっていた。なぜか背中一面和彫のおじさん。

おじさんは僕をとても可愛がってくれた。サッカーに夢中になり始めた小学校の頃、なんでも買ってやるとスポーツ店に連れていってもらった時に、僕はずっと欲しくて欲しくて堪らなかったNIKEの蛍光色の黄色いスパイクを選んだ。そのお店で1番高かった。買ってもらったあの喜びは今でも覚えてる。行く度に見てたずーっと憧れのシューズ。

おじさんは思った以上に高いやつを選んだ僕にタジタジな感じだったけど、サッカーやってる僕をずっと応援してくれた。試合や練習の終わりにラーメンを食べに行く度に、あの時買った蛍光色の黄色いスパイクの話をした。何度も何度も。

昨年、帰省した時に十何年ぶりにおじさんに会った。本当に歳をとった。おじいちゃんの姿とダブる感覚だった。

その時も蛍光色の黄色いスパイクの話をした。まだ忘れずにいてくれたことが嬉しかった。

記憶に残る大事な買い物の瞬間。2人だけの中にある美しい記憶。

おじさんに感謝したい。

おじさんのやっていた中華屋の店名は娘娘(にゃんんにゃん)。良い名前だ。

文・写真=大平恵太(EARLY BIRDS BREAKFIRST)