2023/11/24 20:12

実家をでて名古屋にきて20年。

ひょんな流れで実家とお別れすることがバタバタっと決まり、最後くらいゆっくり帰っておきたいと思い、故郷の青森へ。

1歳4ヶ月の子供を連れて2人での帰省。これだけで感慨深い。

終わりを意識し始めると急に、全てが色褪せて尊く見えて、埋もれていた記憶がよみがえる。

階段の淵の滑り止めの色、壁についた傷、ヒビの入ったままのガラス戸、部屋から見える海の景色、古いタンス、部屋へ上がるときの軋む音。

少しセンチメンタルな気分だから余計全部グッときちゃう。

近所を散歩する。子供の歩くスピードに合わせて手を繋いで歩く。そのスピード感が一つ一つをじっくり観察するきっかけになる。

ずいぶん変わったことももちろんあるんだけど、まったく変わらず、少しづつ風化しながら朽ちていく建物も。

海辺の波の音とそこからの風景は何も変わらない。海辺で育ったんだなぁと当たり前のことに気づく。

海をじっと見て、深呼吸をして、また前に進みたいなと思った。

来月からは名古屋で20年ぶりに母と近くで生活する。


文・写真=大平恵太(EARLY BIRDS  BREAKFIRST)