2023/10/28 18:52

八女(やめ)という福岡の県南、熊本と大分の県境に位置する山間部に暮らしています。

周りの人々は、主に農業や林業を営まれています。

そんな山間部の暮らしの話。

「みかんある?」

「ないです。じゃあ少しいただきます。」

「そんなちぃとばっか、遠慮せんと全部持ってかんね。」

こんな具合に季節ごとに何かしら作物をいただくことがある。

最初の頃は、大量にもらう作物を何とか使い切らねば…なんて思っていたのですが

今は自分達がすぐに食べ切れない分は、別の友人にあげることにしています。

そんな事をしていると、また別の作物を友人にもらったり

忘れていた頃にいつかのお返しが届いたりと

ぐるぐるといつかの何かが巡りめぐっています。

頭の片隅に考えていたこと。

野菜も果物も自分で作っているか、身近に作っている人がいる。

農家さんが作っていなくて、喜ばれるもの。


あ!海のものだ。

そう、山にいると山のものは沢山あります。

海は近くにないので、海産物は購入するしかありません。

年齢はご年配の方が多いので食べやすくて好き嫌いのないもの。

…海苔だ!

数日前に大量の海苔を友人に貰っていたことを思い出し、

いつも作物を分けてくれる方々に配りました。

みんな口を揃えて 

「わぁ!海苔大好き!ありがとう!」

と、目を輝かせ今までにない反応。

自分で作れないもの、遠くのもの。

これらのものがきっと喜ばれるのだと実感しました。

自分の前に留めて置かずにまわすこと。

ここに来て気づいた、大切なこと。



文・写真=本田絵里(ケシキ)