2023/08/05 14:11
本格的な夏を迎えると毎年見たくなる映画の一つにエドワード・ヤン監督の「A One and a Two 邦題:ヤンヤン 夏の想い出」(2000年)がある。
原題の「A One and a Two 」というのは「1+2くらい、シンプルであること」という意味を持つらしい。
私の勤務先ではお昼休みに数人で集まって、最近みた映画やそれぞれが好きなバンドの新譜について語らうことがあり、下っ端の私がデータベース化している。これ以上の機会はないと思うので、本稿において、尊敬する先輩(ウーマンラッシュアワー村本似)の、本作への論評を紹介する。
“これでもかというぐらいに、所々に美しい絵が差し込まれている。旧ホテルオークラや熱海の絶景はダイナミックに、粗暴で繊細さを欠くシーンを引きで撮っている点にエモーショナルがある。”
まったくどうして同感である。
何度目かに本作を観た後、ふと、映画の舞台となった熱海の「つるや旅館」に泊まってみたいと思い、検索したところ、すでに取り壊されていたようで残念な気持ちになったことがあったが、昨年、その跡地に立派なリゾートホテルが建設されていたので晩夏に一泊した。
全然、話は変わるが近年名古屋市内のラブホテルのいくつかはアメリカの不動産会社に買収され、どこもかしこもリゾートホテルのような様相を呈している。熱海のホテルに泊まった際にも目の前が海なのに、窓のないラブホテルに泊まっているような気分になった。気がついたら29歳で、将来への不安や、出口のない感覚がきっとそうさせたのだろう。
「A Twenty nine and a Thirty」29歳と30歳では大きく違う。複雑で入り組んでいる。がんばれ。

(ヤンヤンと同い年のころの筆者)
※関係者各位へ
DVDが私の手元を離れ3年が経過しようとしています。お持ちの方はご連絡ください。
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文=山下潤平(会社員)